◆お江戸の力持ち◆

　濁り酒ではなく、現在の日本酒に近い酒が造られるようになったのは江戸中期でした。特に、上質の酒は池田や伊丹など上方（関西）が産地で、江戸へは主に船で送られていました。上方から江戸へ“下った”酒に対して、関東で造られた酒は“下らない”酒。価値がない物のことを「くだらない」と言うのは、ここから来ています。当時の江戸では、まだおいしい酒を造る技術が進んでいなかったのです。
　さて、船が江戸の河岸に着くと人足たちが酒樽を荷揚げしていくわけで すが、これがちょっとした名物になっていました。
威勢のよい掛け声とともに曲芸 のような持ち方をしてみせるのです。 両手で高々と酒樽を持ち上げて歩く者がいるかと思えば、両足に酒樽を結び付け、両肩にもかついで……というとんでもない力持ちもいたようです。
　浅草の浅草寺境内、本堂の向かって左に、当店の先祖が力自慢たちを競わせた力石がまとめて保存されています。なかには60貫（約225kg）などという大石もあって驚かされます。浅草寺をご参詣の折には、ぜひ一度ご覧になってみてください。

白酒・清酒金婚・天上味醂
豊島屋本店
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