【梅花亭】
◆3つの町にそれぞれの名物◆
当店は嘉永3年(1850年)に大伝馬町で創業した和菓子屋です。本店のほかに2つの支店があり、それぞれに売れ筋のお菓子がございます。今日はそのご紹介をさせていただきます。
新川(霊岸島)にある本店では、6代目が屋号にちなんで厚みのあるふっくらとした梅のかたちに改良した「梅もなか」や、初代がペリー来航のすぐあとに売り出した「亜墨利加饅頭」が1年を通じてご好評いただいております。社用に使われるお客様が、お得意様へのお土産に、見た目の華やかさと話題性のあるお菓子を好まれるのでしょう。
小伝馬町の店には、1年のうち2日間だけお作りする名物がございます。「喜利羊肝(栗蒸羊羹)」と「切り山椒」がそれで、毎年10月19・20日の宝田恵比寿神社の祭礼に合わせて開かれる”べったら市“の時だけ販売します。祭りのにぎわいの中での商いは、私たちも心が弾む年中行事です。
深川不動尊の仲見世にある店では、いつのまにか「どらやき」が名物になりました。2代目が銅鑼のかたちから生み出した江戸時代のどら焼きは、厚みがないので「3枚ちょうだい」と、もっぱら枚数でのご注文。2021年の年末、70年ぶりに建て替えた店は、奥に旧店舗を再現した喫茶スペースがあり、そこでもお召し上がりいただけます。参詣を終えてホッとされたお客様のお顔に笑顔が広がります。
同じお菓子を揃えておりましても、土地柄がお菓子を選び、名物を生むようです。東京という街がいろいろな顔を持っていることを、あらためて嬉しく思う今日この頃です。
◎梅花亭 中央区新川2-1-4 TEL.03(3551)4660
最新記事
This post is also available in: 英語