【海老屋總本舗】
◆日本ビール史と佃煮◆
 浦賀沖にペリー率いる黒船が現れて日本を騒然とさせたのは、1853年。翌年も黒船はやってきて、幕府に多数の品物を献上しました。そのなかに、「土色を呈し、おびただしき泡を立つ」と記述された飲み物が含まれていました。そう、ビールです!
 このように当初は怪しまれたビールですが、明治維新(1868)後まもなく、正式に輸入開始。明治4年にはドイツビールだけでも月間2万ダースが輸入されたといいますから、またたくまに民衆に広まったことがわかります。
 ところで、当店の創業は明治2年(1869)。そして名物の「海老鬼がら焼」は、創業時から作り続けている商品です。佃煮に「焼き」の技法を取り入れたのも初めてなら、醤油だけで味つけしていた従来の佃煮に砂糖を加えたのも、初代の工夫でした。
 創業したばかりの初代が、何からヒントを得て新タイプの佃煮を創作したのかは伝えられておりません。でも、もしかしたら「ビールという異国の飲み物に合う酒肴はできないか」などと考えたのかも……?!
 明治維新は、時代の大転換期。グルメ業界もベンチャー時代でした。苦労は数知れずあったでしょうが、初代はおもしろい時代を生きたのではないでしょうか。
江戸前佃煮
海老屋總本舗
●墨田区吾妻橋1-15-5
(地下鉄浅草駅から徒歩4分)
●03(3625)0003

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