江戸の歳時記|10月 べったら市
・べったら市

 べったら市は、毎年10月19・20日の両日、日本橋大伝馬町の宝田恵比寿神社の大祭・恵比寿講に合わせて催される縁日。「べったら漬け」をはじめとする漬け物店の露店のほか、約300軒もの屋台が路地裏にまでぎっしりと軒を並べます。
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この市の始まりですが、江戸時代の初め頃は、宝田恵比寿神社の祭礼の宵宮には織物商人が集まって市を立てていたそうで、その人出をあてこんで収穫が始まった大根を漬け物にして売り出したのが始まりと言われています。江戸末期に書かれた『守貞漫稿』には、「又、新漬け大根を売る、所謂浅漬にて干大根を塩、糠を以って漬けたる、けだし糀を加えたるを良しとす。夜市等に之を売ること、唯この夜一夜限れり」
と記されています。当時は糠漬けにした大根の漬け物が主で、べったら漬けは特選品としてグルメに人気があった、という感じでしょうか。

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大根の糀(こうじ)漬けをべったら漬けと呼ぶようになったのは、売り手が買い物客の女性に「べった、べったら」とふざけながら売ったからだとか、荒縄で縛って持ち持ち帰るときに手や着物に糀がべったりとついたからだとか諸説あります。

今も昔も地元密着型の、このお祭り。路地の至るところで、周辺の会社に勤めるOLやサラリーマンがにぎやかな路上宴会を開いています。

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