【第二十四回目】
駒形どぜう:江戸の味、江戸の風情
このところ江戸検定など、日本の歴史や文化を学ぶことが一種のブームになっていますが、本の知識だけでなく、実際に「江戸」を感じる、なんて趣向はいかがでしょう。
いいお店があるんです。地下鉄浅草駅からでしたら、浅草寺とは逆方向に徒歩約5分。ほら、見えてきました。200年の歴史をつむぐその店の大きな暖簾が、ゆったりと風にそよいでいます。書かれているのは
「どぜう」の3文字。
「駒形どぜう」の創業は1801年。越後屋助七が武蔵国(現・埼玉県北葛飾郡)から江戸に出てきて奉公した後、浅草駒形にめし屋を開いたのが始まりです。この初代が始めたどぜう鍋・どぜう汁に加え、2代目が考案した「くじら鍋」も大ヒット。当時、駒形が浅草寺参詣のメインストリートであったこともあり、店はたいへんな繁盛ぶりだったそうですが、その賑わいは、いまも変わりません。

特に1階の入れ込み席は、江戸の昔に思いをはせたくなるような風情たっぷりの空間。江戸時代、八っつぁんや熊さんが「どぜう」を楽しんだのと同じように、楽しげな会話が天井にこだまして、温かな雰囲気が店を包んでいます。

名物メニューは、初代から続く名物「どぜう汁」。甘味噌仕立てのタレがぐつぐつと音を立て始めたら、たっぷりのネギと七味をかけていただきましょう。開いたどじょうと、ささがきごぼうを卵でとじた「柳川なべ」も人気。いずれも代々の当主が守り続けてきた深い味わいです。
お酒のお代わりをする頃には、元気がもりもり湧いてきたような……。どぜうのパワーと、この店がかもし出すやんちゃな江戸っ子DNAが効いてきているのかもしれませんね。

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