【梅花亭】
◆それぞれの町に名物あり◆
 当店の小伝馬町の店には、1年のうちたった2日間だけ売り出される名物がございます。「喜利羊肝」と「切り山椒」がそれで、毎年10月19・20日の宝田恵比寿神社の祭礼に合わせて開かれる”べったら市“の時だけの販売。べったら漬けを売る露店が立ち並び、呼び込みの声が幾重にも響く中でのお商売は、私たちにとっても楽しく張り合いのある年中行事です。
深川不動尊の仲見世にある店では、いつのまにか「どらやき」が名物になってしまいました。2代目が考案したこの元祖どら焼きは、厚みがないので「3枚ちょうだい」と、お煎餅でもないのにもっぱら枚数でのご注文。ちょっとおもしろい光景です。
本店の新川の店では、6代目が考案した「梅もなか」や、初代がペリー来航のすぐあとに売り出した「亜墨利加饅頭」が1年を通しての売れ筋商品です。かつては霊岸島と呼ばれ、情緒豊かな街並みが続いていたこの町も、今はオフィス街。お得意先へのお土産には、見た目の華やかさと話題性のあるものが喜ばれるのでしょう。
本店、支店が同じものを売っておりましても、土地柄がお菓子を選び、名物を生むようです。東京という街がいろいろな顔を持っていることを、改めて嬉しく思う今日この頃です。
御菓子匠
梅花亭
●中央区新川2-1-4
(地下鉄茅場町駅から徒歩3分)
●03(3551)4660

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