<白木屋傳兵衛>中村梅吉さんの「いい話」【第17回:歳時記:8月】
8月といえば、お盆だ。もとは旧暦7月15日にあたる中元節の日に行われていた(旧暦盆)行事だったが、明治期に新暦が導入されたため、今は多くが新盆(7月13~16日)と月遅れの盆(8月13~16日)で行われるようになった。東京は7月に行う新盆。地方の90パーセントは、8月に月遅れで行うようだ。
ところで、その月遅れのお盆の頃に行われるのが深川の八幡様(富岡八幡宮)の例祭「深川八幡祭り」だ。現在は毎年8月15日を中心とした土日に行われているが、八幡様によらず深川の祭りは8月が多い。マイナーな神社は、八幡様のお祭りの前後に日程を調整する。
氏子は、大半が深川だが、中央区の新川や中洲辺りまで範囲が及んでいる。
「粋は深川 勇みは神田 だだっ広いのが山王様」
私が小学生の頃の話だが(八幡様の祭りが一番盛んだった頃だ)、親父と深川へ祭り見物に行ったとき腹が痛くなり、気が付いたら半日、小用をしなかったのを思い出したことがあった。祭りの迫力に押されて、そんなことなど忘れていたのだ。
ここ3、40年のことだと思うが、あの祭りには町神輿の「担ぎ方コンクール」があって、5月以降、週末の夜ともなると、高架の下や川っぺりなどで、神輿の担ぎ棒だけを担いで練習しているグループに出会う。客観的に見ると棒だけ担いでいるのは「みば」のよいものではないが、当人達は大真面目。趣味や道楽を第三者が見ると「喜劇」になるのを知る。そして、深川のお祭りの掛け声は「わっしょい」である。
なお、八幡様のご鳳輦が渡御を行う本祭りは3年に一度。次は、来年2017年だ。